インプラントは耐久性が高く寿命が長い施術方法ですが、施術後は「メンテナンス」を継続して行う必要があります。メンテナンスを続けることでインプラントでかかりやすい感染症を防ぎ、寿命をさらに延ばすことにもつながります。ここではインプラントのメンテンスについて重要性を解説し、どのようなメンテナンスが行われるのかも詳しく説明します。
目次
インプラントのメンテナンスを行う重要性
インプラントは施術を受けて完了ではなく、定期的にメンテナンスを行うことが重要です。インプラントは人工歯や金属などで構成させるため虫歯になることがありませんが、メンテナンスを怠ると、さまざまなトラブル発生につながる可能性が高まります。
周囲炎の予防につながる
メンテナンスを定期的に行うことで、インプラントの大敵である「インプラント周囲炎」を防げます。インプラントの周辺の清掃を怠ると、周辺に汚れが溜まり細菌が繁殖しやすくなります。インプラントの周辺が細菌に感染すると、インプラント周囲炎を引き起こします。インプラントは歯槽骨と呼ばれる部分に支えられていますが、症状が進んで歯槽骨が破壊されると歯肉が衰えてインプラントが露出します。最悪の場合インプラントが外れる可能性もあります。
残っている歯の寿命を延ばす
適切にメンテナンスすればインプラントの寿命を延ばし、残っている歯の寿命も延ばすことにつながります。たとえば、歯が欠損したまま放置したり、何らかの原因でインプラントが破損しそのまま放置したりすると、残された歯に負担がかかります。失った歯の隣や、噛み合わせ部分の歯のバランスが崩れてしまうためです。ちなみにインプラントの寿命は、一般的に10~15年といわれています。10~15年経過後、90%以上の方がインプラントを正常にキープできています。しかし、これは平均的なものであり、セルフケアやメンテナンスを怠ると寿命が縮む可能性は高くなります。インプラントや残された歯の寿命を延ばすためにも、メンテナンスは非常に重要であるといえます。
メーカー保証が受けられる
インプラントは一般的にメーカー保証がついています。インプラントが外れたり破損したりしても、新しいインプラントに交換でき、再手術の費用もほとんどの場合で無料です。ただし、メーカー保証を受けるにはインプラント施術を行った歯科医院で、定期的なメンテナンスが受けている必要があります。ほかにも条件があり、日常的な食生活で破損・脱落してしまった、メーカーの保証期間内であること、禁煙しているなどの項目があります。
メーカー保証を受けられない多くのケースは、メンテナンスを怠っていたことが原因です。インプラント治療は高額な費用が必要となるため、なにかトラブルが起こったときにしっかりと保証を受けるためにも、定期的なメンテナンスは必要です。
歯科医院で行うインプラントのメンテナンス内容
インプラントのメンテナンスでは、具体的にどのようなことが行われるのでしょうか。ここでは、メンテナンスの内容を詳しくご紹介します。
口内チェック
インプラントを長持ちさせるために、口内全体の状態チェックは欠かせません。虫歯や歯周病がないか、口内が清潔に保たれているかをチェックします。併せて、被せ物や詰め物などの状態も診察します。
レントゲン検査
次にレントゲン撮影を行って検査します。顎の骨で支えているインプラントの状態や、そのほかの歯の根元の状態などを問題ないかチェックする必要があります。目視で確認できない部分はレントゲン検査で詳しくチェックします。
ブラッシング指導
ブラッシング指導も定期的なメンテンスにおいて大切なプロセスです。しっかりブラッシングしているつもりでも、磨き方のクセには個人差があります。磨き残している部分をみつけて、適切なブラッシング方法を指導してもらうことで磨き残しを予防できます。
歯ブラシや歯間ブラシなどのツール選びもアドバイスしてくれるため、日々のブラッシングに取り入れて、効果的な歯磨きの方法を身につけられます。
クリーニング
日々のブラッシングでは落としきれない汚れをクリーニングによって除去してもらいます。しっかりブラッシングしていても、汚れはどうしても落としきることができず徐々に蓄積していきます。クリーニングでは歯科医院の専用の器具を用いて、歯垢や歯石などの汚れをキレイに除去してもらいます。クリーニングを行うことで、口内を清潔で健康な状態にキープできます。
インプラントのメンテナンスの通院頻度
インプラントのメンテナンスの頻度は、年に2~4回ほどが一般的です。口内の状態によって通院の頻度は異なりますが、3~6か月に1回は通院します。歯科医院の指示に従い受診しましょう。
インプラントのメンテナンスにかかる検診費用
インプラントのメンテナンス費用は1回の通院につき、5,000円~1万円ほどかかるのが一般的です。インプラントは保険適用外のため、メンテナンスの内容によっては高額になる可能性もあります。費用については、歯科医院に事前に確認しておくと安心です。
自宅で行うインプラントのメンテナンス
インプラントはメンテナンスのため定期的な通院が必要ですが、自宅で行う日々のセルフケアも健康で清潔な歯を保つために大切です。セルフケアの方法についてご紹介します。
丁寧なブラッシングを行う
インプラントは、自分の歯と同じようにブラッシングします。歯ブラシは小刻みに動かし、歯1本1本の表面を磨くイメージです。インプラント部分は人工歯と歯肉の境目を丁寧に磨くのがポイントです。インプラントの根元などの細かい部分には、コンパクトな先端のタフトブラシタイプを使うと汚れを落としやすくなります。また電動歯ブラシを用いると、効率的にブラッシングができます。
歯間ブラシ・フロスを用いて汚れを落とす
歯間ブラシやデンタルフロスを併用しましょう。インプラントと歯の隙間を磨くのに効果的です。隙間が大きい箇所には歯間ブラシ、隙間が細い箇所にはデンタルフロスを用いるとよいでしょう。
デンタルリンスを使用する
デンタルリンスなどの洗口剤も、簡単に取り入れられるセルフケアです。洗口剤だけで歯の汚れは落としきれないため、丁寧なブラッシングや歯間のケアを行ったうえで併用しましょう。
まとめ
インプラントの平均寿命は10~15年とされていますが、適切なメンテナンスを行っていれば寿命を延ばせます。インプラントは高額な治療となるため、万が一のトラブルに備えてメーカー保証がついていると安心ですが。ただし、保証を受けるための条件として定期的なメンテンスを受けていることが必須となります。インプラントと残されたご自身の歯を守るためにも、しっかりとメンテナンスすることが重要です。