入れ歯をしている方のなかには、入れ歯が外れる、食べ物を噛みにくい、痛みがあるなど悩みを抱えている方も少なくありません。一方で、インプラントは天然の歯のように噛む力があり、装着していても違和感のない施術方法です。今回は入れ歯からインプラントに変えたいと考える方に向けて、具体的な治療方法や注意点などを解説します。
目次
入れ歯からインプラントにすることはできる
入れ歯からインプラントへの変更は可能です。歯を失ってしまったけれど、「インプラントの費用が高額のため入れ歯にした」という方が、実際入れ歯を使ってみて噛みにくさを感じたり痛みが生じたりして、後悔を感じている場合もあります。
入れ歯は、失った歯の代わりに人工歯を入れる施術方法です。歯ぐきに沿うよう作られたプラスチック部分に人工歯を並べ、両隣の歯に金属のバネをかけて固定させます。入れ歯となる箇所が増えるとその分の入れ歯のサイズも大きくなり、違和感が発生しやくなります。噛みにくさに加え、食べ物の味も感じにくくなる方もいます。
ただし入れ歯にしてからの期間が短い方がよい
入れ歯からインプラントへ変更する場合、入れ歯の期間が短いほどインプラント治療が進めやすくなります。その理由について解説します。
理由1:入れ歯により歯茎や骨に負担が掛かっている
入れ歯を装着していると、噛むときに歯ぐきや骨に負担がかかります。使用期間が長くなるにつれて、次第に骨が薄くなり歯ぐきの位置も下がってしまうためです。長年使用を続けていると、入れ歯をしていた箇所がへこみます。
理由2:入れ歯により歯の寿命が短くなっている
部分入れ歯の場合、両隣の歯に金属のパーツで人工歯を固定させるため、噛んだときに金属部分や両隣の歯にも負担をかけている状態に陥ります。そのため、入れ歯を支えている健康な歯の寿命を縮めることにつながるのです。
入れ歯からインプラントにする場合の注意点
入れ歯からインプラントへ変えることは可能です。しかし、どのようなケースでもすぐに治療ができて、すぐに入れ歯で抱えていた悩みを解決できるわけではありません。入れ歯をしている方が、インプラント治療を始める前に注意しておくべき点を解説します。
骨造成や歯肉移植が必要になる可能性がある
インプラント治療の前に、骨造成や歯肉移植といった処置が必要になる可能性があります。
インプラントの施術方法は、骨に穴を空けて歯根の代わりにインプラントを埋め込み、インプラントに人工歯を装着します。
骨にインプラントを固定することになるため、骨の量などが足りているかによって施術内容が変わります。入れ歯を長年使っていた方は、骨が薄くなったり歯ぐきの位置が下がったりしているケースが多いため、インプラント施術の難易度が上がる可能性が高まります。
骨造成は、骨の量が足りない場合に人工の骨や自分の骨を入れて増やす処置を指します。歯肉移植は歯ぐきを切除し、足りない部分に歯ぐきを移植する処置です。入れ歯からインプラントにする場合は、これらの処置の可能性が高くなる点に注意が必要です。
治療期間が長くなる可能性がある
入れ歯をしていた方は、インプラント治療が長引く可能性が高いです。インプラントの治療期間は6か月~1年ほどが目安で、人によっては1年以上かかるケースがあるなど個人差が大きいです。
上述したとおり、入れ歯によって歯ぐきや骨に影響がでており、骨造成や歯肉移植の処置が必要になれば目安の期間よりも長引く可能性があります。
入れ歯からインプラントにするメリット・デメリット
入れ歯からインプラントへ変えるときのメリット・デメリットについてまとめました。
メリット
● 自分の歯と近い使用感
インプラントは天然の歯と同じような感覚で噛めて、咀嚼力も十分にあります。
● 審美性が高い
入れ歯を保険適用の素材で作る場合、歯の色味が経年とともに変色します。また入れ歯を固定する金属部分が露出しているため、位置によっては金属部分が見えてしまうこともあります。一方インプラントであれば、金属部分も見えることなく、天然の歯のような見た目で審美性が高くなります。
● ほかの歯に負担をかけない
インプラントは入れ歯のようにほかの歯を支えにしないため、影響を与えることはありません。
● 取り外して洗浄する必要がない
インプラントは骨に固定されているため取り外せません。自分の歯と同じようにケアできます。
デメリット
● 治療費が高額になりやすい
インプラントは保険適用外の治療となるため、高額になる傾向にあります。
● 治療期間が長い
インプラントを埋入する手術後に骨と安定するまで待つ必要があります。そのため、治療期間は長くなります。
● 定期メンテナンスを受ける必要がある
インプラントにはかかりやすい感染症などもあるため、定期的にメンテンスをうけておくことが大切です。
入れ歯からインプラントにする治療方法
入れ歯からインプラントにする治療法にはいくつかあります。入れ歯や総入れ歯の場合に分けてご紹介します。
入れ歯の場合
入れ歯の場合、失った歯の本数のインプラントを埋入する方法と、「インプラントブリッジ」の方法があります。失った歯の本数分をインプラントでまかなえれば理想的ですが、インプラント1本にかかるトータルの治療費は30万~40万円ほどと高額です。
本数が増えると治療費も高額になるため、インプラントブリッジも選択肢のひとつです。インプラントブリッジとは、たとえば3本連続して歯を失っている場合、両端2本をインプラントにし3本の人工歯を入れる方法を指します。3本のインプラント治療費が必要なところを1本少なくするため、治療費を抑えられます。
総入れ歯の場合
総入れ歯の場合は、「インプラントブリッジ」があります。歯がすべて無い場合のインプラントブリッジでは、左右の奥歯と前歯にインプラントブリッジを行います。インプラントを埋入する本数や位置は、かみ合わせなどを考慮して決めます。インプラントブリッジを分けることで手術の負担が減り、手術箇所の治りも早くなります。
まとめ
入れ歯は保険適用となる場合は、費用を抑えて治療ができます。ただし、長年入れ歯を使用することで口内トラブルなどのリスクが生じます。また入れ歯は、使用感などに満足いかない方も多くいらっしゃいます。入れ歯からなるべく早めにインプラントに変更することで、歯ぐきや骨、周囲の歯を守ることにもつながり、将来的に多くのメリットを得られます。