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歯並びが悪いとどうなる?~矯正治療の必要性とリスクを知る~

  • いまみや歯科医院スタッフ
  • 2025年12月12日
  • 読了時間: 12分

「歯並びが悪い」と聞くと、まず見た目の問題を思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし実際には、歯並びの乱れは虫歯・歯周病・発音・顎関節・姿勢・全身の健康にまで影響します。


この記事では、歯列矯正の専門知識に基づき、歯並びが悪いことで起こるトラブルや、矯正治療のメリット・リスク・注意点をわかりやすく解説します。



1.歯並びが悪いと起こること

歯並びの乱れ(不正咬合)は見た目だけでなく、口腔内の健康や生活の質にも大きく関わります。ここでは、歯並びが悪いことで実際に起こる代表的な問題を紹介します。


1-1.見た目の印象への影響

歯並びは「顔の印象を左右する要素」のひとつです。

歯が重なっていたり、出っ歯・すきっ歯などがあったりすると、笑顔に自信を持てなくなる人も少なくありません。

また、歯の位置がずれることで唇の形が不自然になり、口元のバランスが崩れることもあります。

心理的な影響は意外と大きく、「人前で笑えない」「写真を撮られたくない」といったコンプレックスにつながるケースもあります。


1-2.虫歯・歯周病のリスク

歯並びが悪いと、歯ブラシの毛先が届きにくい場所が増えます。

特に重なった歯や奥まった歯の間には歯垢が残りやすく、虫歯や歯周病を引き起こしやすい状態になります。

また、噛み合わせの不均衡によって一部の歯に負担が集中すると、歯の摩耗や知覚過敏、歯ぐきの炎症を誘発することもあります。


1-3.発音や咀嚼(そしゃく)への影響

前歯の隙間や開咬(歯が閉じない状態)があると、「サ行」「タ行」「ラ行」などが不明瞭になりやすくなります。

また、噛み合わせが悪いと食べ物を十分に噛めず、胃や腸など消化器官に負担がかかることもあります。

正しい歯並びは、言葉の発音と食事の機能を支える大切な土台です。



2.顎関節や全身への影響

歯並びの乱れは、顎関節に不自然な負担をかけることがあります。

「口を開けるとカクッと音がする」「顎が痛い」「口が開けづらい」といった症状が出る顎関節症の原因となることも。

さらに、噛み合わせのバランスが崩れることで、頭痛・肩こり・姿勢の歪みを引き起こすケースもあります。



3.代表的な不正咬合の種類とその特徴

一口に「歯並びが悪い」と言っても、実はいくつかのタイプに分かれ、それぞれで起こりやすいトラブルが異なります。自分がどのタイプに当てはまるのかを知ることで、適切な治療の選択にも役立ちます。


3-1.叢生(そうせい・ガタガタの歯並び)

歯が重なり合って生える状態です。清掃不良が起こりやすく、虫歯・歯周病のリスクが高い傾向があります。


特徴

• 歯ブラシが届きにくく、虫歯・歯周病のリスクが高い

• 歯石が溜まりやすく、口臭の原因にもなる

• 見た目のコンプレックスにつながりやすい



3-2.上顎前突(出っ歯

上の歯が前に出ている状態。口が閉じにくく、口呼吸になりやすいことから、ドライマウスや虫歯のリスクが高まります。また転倒時に前歯をぶつけやすいという問題もあります。


特徴

• 口が閉じにくく口呼吸になりやすい

• 唇が乾燥しやすく、虫歯・歯周病のリスクが増える

• つまずいたときに前歯をぶつけやすい

• 横顔の印象が変わりやすい



3-3.下顎前突(受け口)

下の歯が前に出ている状態で、噛みにくさ・発音障害・顎関節への負担などが生じやすくなります。


特徴

• 噛み切りにくさ・発音障害が出やすい(サ行・タ行の発音など)

• 下顎に負担がかかり、顎関節症のリスクが高い

• 顔貌がしゃくれた印象に見えることもある



3-4.開咬(奥歯は噛むのに前歯が噛み合わない状態)

前歯で食べ物が噛み切れず、発音にも影響します。舌の癖や指しゃぶりが原因となることが多いです。


特徴

• 前歯で食べ物が噛み切れない

• 発音が不明瞭になりやすい(特にサ行)

• 舌が前に出るクセが治りにくい

• マウスピース矯正では治療が難しいケースも



3-5.過蓋咬合(深噛み)

上の歯が下の歯を深く覆っている状態。下の前歯が上顎の歯ぐきに接触し、歯肉のトラブルが出るケースもあります。


特徴

• 下の前歯が上顎の歯ぐきを傷つけやすい

• 顎関節に負担がかかりやすく、頭痛・肩こりの原因になることも

• 歯の摩耗が進みやすい



3-6. すきっ歯(空隙歯列:くうげきしれつ)

歯と歯の間に隙間がある状態です。先天的に歯が小さい・本数が少ないことが原因である場合もあります。


特徴

• 空気が漏れやすく、発音が気になることがある

• 食べ物が挟まりやすく、歯ぐきの炎症が起こりやすい

• 見た目のコンプレックスを抱きやすい



3-7. 交叉咬合(こうさこうごう)

噛んだとき、上下の歯の位置が一部で逆になっている状態です。


特徴

• 片側だけで噛みやすくなり、顔の左右差が出る

• 顎がズレ、顎関節に負担がかかる

• 歯の摩耗や歯ぐきの下がりが起こりやすい



3-8. 正中離開(せいちゅうりかい)

上の前歯2本の間が広く空いている状態です。「すきっ歯」の中でも特に前歯の隙間が目立つタイプです。


特徴

• 空気が漏れやすく発音に影響することがある

• 舌や唇の癖が原因になっている場合も

• 成長期の早期治療で改善しやすいケースが多い



4.歯並びが悪くなる原因

歯並びが悪くなる理由はひとつではありません。遺伝的な要因に加え、生活習慣や癖、乳歯のトラブルなど、さまざまな要素が関係しています。


4-1.遺伝的要因

顎の骨格や歯の大きさ、噛み合わせの傾向は親から子へ受け継がれることがあります。

たとえば「顎が小さいのに歯が大きい」と、歯が並ぶスペースが足りず、叢生(そうせい)=ガタガタの歯並びになりやすくなります。



4-2.生活習慣や癖の影響

以下のような癖は、歯並びに悪影響を与えます。

• 指しゃぶりや舌を前に押し出す癖(舌突出癖)

• 頬杖やうつ伏せ寝

• 口呼吸(鼻呼吸ができていない状態)


これらが長期間続くと、顎の発育や歯の位置に影響し、開咬・出っ歯・受け口などの不正咬合を招くことがあります。



4-3.乳歯の早期喪失や虫歯

乳歯は永久歯の生えるスペースを確保する役割を持っています。

虫歯や外傷で早く抜けてしまうと、隣の歯が寄ってきて永久歯の生える位置がずれ、歯並びの乱れにつながります。



5.歯並びを放置するとどうなる?

歯並びの乱れは自然に治ることはほとんどありません。むしろ年月が経つにつれ歯の動きや歯周組織の変化が進行し、以下のような問題が悪化することがあります。

• 虫歯・歯周病の進行

• 顎関節の負担増大による痛み

• 歯の摩耗や破折

• 顔の左右差や輪郭の変化

• 食べ物を十分に噛めないことによる消化不良

• 口呼吸による全身的なトラブル


「大人になってから治療できないの?」という声もありますが、成人でも矯正は問題なく可能です。ただし長年の歯並びによる影響があるため、早期相談がメリットになります。



6.矯正治療の基本を知る

歯並びを整えるための矯正治療(歯列矯正)には、さまざまな方法があります。ここでは代表的な矯正の種類と特徴を紹介します。


6-1.主な矯正治療の種類

・ワイヤー矯正:最も一般的な方法で、金属や透明ブラケットを使って歯を動かします。

・マウスピース矯正:取り外し式の透明装置で、目立ちにくいのが特徴です。

・部分矯正:前歯だけなど、限られた範囲を短期間で整える方法。


それぞれメリット・デメリットがあり、歯並びや生活スタイルに合わせて選択されます。



6-2.治療期間と通院の目安

全体矯正はおおむね1年半~3年、部分矯正は半年~1年程度が一般的です。

月1回ほどの調整が必要で、治療後は歯を安定させるためにリテーナー(保定装置)を装着します。



6-3.治療中の注意点

矯正中は歯の移動による軽い痛みや違和感が生じることがありますが、多くは数日で治まります。

装置の周囲に汚れが溜まりやすいため、丁寧なブラッシングと定期的なメンテナンスが欠かせません。



7.矯正治療のメリット

矯正治療の目的は「見た目をきれいにすること」だけではありません。健康的で機能的な口腔環境をつくるための医療的意義があります。


7-1.口腔内の健康維持

歯列が整うと歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが大幅に減少します。

清掃性の向上は、将来的な歯の寿命を延ばすことにもつながります。


7-2.噛み合わせの改善

正しい噛み合わせにより、食べ物をしっかり噛めるようになります。

消化器への負担が軽くなり、体全体の健康にも良い影響を与えます。


7-3.見た目と心理的効果

歯並びが整うことで笑顔に自信が生まれ、第一印象が明るくなります。

仕事や人間関係においても前向きな変化を感じる人が多く、心理的な満足度が高い治療といえます。



8.矯正治療のリスクと注意点

どのような治療にもリスクはあります。矯正治療を検討する際は、以下の点を理解しておくことが大切です。


8-1.歯根吸収や歯肉退縮

歯を動かす過程で歯根が短くなったり、歯ぐきが下がったりすることがあります。

過度な力をかけないよう、専門医の慎重な管理が必要です。


8-2.虫歯・歯周病のリスク上昇

装置の周囲にプラークが溜まりやすく、口腔衛生状態が悪化することがあります。

定期的なクリーニングやフッ素塗布など、予防ケアが重要です。


8-3.治療後の「後戻り」

リテーナーの使用を怠ると、歯が元の位置に戻ることがあります。

「矯正は終わった後が本番」と考え、保定期間を守ることが成功の鍵です。


8-4.費用と期間の個人差

矯正治療は自由診療に該当する場合が多く、費用は装置や期間によって異なります。

事前に見積もりと説明を受け、納得したうえで治療を始めましょう。



9.矯正治療はいつ始めるべき?

矯正の開始時期には個人差がありますが、一般的な目安としては以下があります。

• 子ども:7〜9歳頃に一度矯正相談

• 大人:思い立った時が始めどき

• 症状が進行している場合は早めの対応が有利


「早い方が良い」と言われる理由は、子どもの場合は顎の成長を利用して骨格ごと改善できるからです。一方で大人は歯を動かす治療が中心になりますが、問題なく治療できるため、年齢で諦める必要はありません。


9-1.大人の矯正は何歳からでも可能

・歯や歯ぐきに大きな炎症がない

・歯槽骨(歯を支える骨)が十分にある

・重度の歯周病がコントロールされている


これらが確認できれば、40代・50代・60代でも矯正を行っているケースは珍しくありません。

実際に、近年では「人生100年時代」と言われる中、50代以降で矯正を始める方が増えています。



9-2.子どもの場合は「成長を利用できる」という大きな利点

子どもの骨は成長段階にあるため、あごの位置や大きさを成長に合わせて誘導できる点が大きなメリットです。

将来的に抜歯を避けたり、骨格のズレを軽減できたりする可能性があります。



10.矯正治療の流れ(初診〜保定まで)

矯正治療の大まかな流れは次の通りです。


1. 初診カウンセリング:気になる点を相談

2. 精密検査:レントゲン・写真・歯型採取

3. 診断・治療計画の提示

4. 矯正装置の装着

5. 月1回の調整・通院

6. 装置 の取り外し

7. 保定(リテーナー)で後戻り防止


治療期間に個人差はありますが、治療後の保定期間を含め「トータルで3〜5年程度」は見ておくと安心です。



11.矯正治療の費用相場

矯正治療は自由診療のため費用は医院によって異なりますが、一般的には以下の範囲が多いです。

• ワイヤー矯正(全体):70〜120万円程度

• マウスピース矯正:80〜110万円程度

• 部分矯正:10〜40万円程度


費用だけで判断せず、治療計画・通いやすさ・担当医の実績など総合的に判断することが大切です。



12.子どもの矯正と大人の矯正の違い

矯正治療は「子どもだけのもの」ではありません。最近では成人の矯正も一般的になっています。


12-1.成長期の矯正(Ⅰ期治療)

子どもの矯正では、顎の成長を利用して永久歯が正しい位置に生えるよう誘導します。

顎を広げたり、骨格バランスを整えたりすることで、将来的な抜歯のリスクを減らすことも可能です。


12-2.永久歯が生えそろってからの矯正(Ⅱ期治療)

大人の矯正では、成長が止まった骨格に合わせて歯を動かします。

年齢に関係なく治療は可能ですが、歯周病や骨の状態を考慮する必要があります。

最近では、目立ちにくいマウスピース矯正の普及により、社会人でも気軽に始める方が増えています。



13.矯正治療を始める前に

治療をスムーズに進めるためには、信頼できる歯科医師のもとで十分なカウンセリングを受けることが大切です。


13-1.矯正治療は保険適用になるの?

矯正治療は「見た目の改善」を目的とするケースが多く、基本的には保険適用外(自費診療)となります。

しかし、特定の先天性疾患や骨格的な異常によって咬合に問題が生じている場合には、保険適用となることがあります。



13-2.保険適用となる代表的なケース

以下に該当する場合、健康保険で矯正治療が受けられる可能性があります。


① 顎変形症(がくへんけいしょう)

上下の顎の骨の位置異常が大きく、外科手術(骨切り術)を伴う矯正が必要と診断された場合。

例:

・下顎だけが大きく前に出ている

・上顎が極端に小さい or 大きい

・顔の左右差が大きい


これらは機能障害を伴うため、医科—歯科連携のもとで保険治療が行われます。


② 唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)

先天的な疾患で、発音・食事・噛み合わせに大きな影響が出るため、成長期から保険で矯正治療を行います。


③ 厚生労働省が定めるその他の先天性疾患

一定の症候群や先天異常で噛み合わせに支障があるケースは保険適用になる場合があります。



13-3.注意点

・保険適用の診断は、指定の医療機関のみで行う必要があります。

・「見た目が気になる」「ガタガタを治したい」などの審美目的は保険対象にはなりません。



13-4.まずは受診が必要

保険が適用されるかどうかは、口腔内と骨格の状態を診査し、専門医が判断する必要があります。

迷った場合は、まずお近くの歯科医院または矯正専門医に相談されることをおすすめします。



まとめ

歯並びの乱れは見た目だけでなく、口腔や全身の健康、そして自信にも深く関係しています。

矯正治療は長期間にわたるものですが、その先には「健康的で美しい笑顔」が待っています。


焦らず、信頼できる歯科医師のもとで一歩ずつ進めていきましょう。



当院の矯正治療についてもっと詳しく知りたい方はこちら



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